新潟市南区味方の「大庄屋の里」で、お米を中心に大豆・麦・野菜などを栽培・販売する有限会社米八。
ICTを活用したアグリテックや新技術の導入に積極的に取り組み、「楽しみながらおいしい農産物を届けたい」という思いで、栽培技術の向上と経営の効率化を両立させてきた農業法人だ。
新潟市や農研機構などと連携して取り組んだ「スマート農業実証プロジェクト」では、自動操舵システムや水田センサー、ドローン・衛星リモートセンシング、ICTコンバイン、営農管理システム「アグリノート」など、さまざまなスマート農業技術を組み合わせたデータ連携の実証にも参画。水稲の収量・品質向上と、省力・低コスト化の両立を目指してきた。
現在は約50haの面積を管理し、稲作を軸に大豆や麦、畑地水稲(陸稲栽培)なども手がける米八。 代表取締役の加藤誉士寛(かとうよしひろ)さんは、7年ほど前から本格的にICT化を進めており、アグリノートを中心に、衛星画像・水位センサー・オート収量コンバインなどを連携させ、「1つの画面で完結する」情報管理を実現しているという。

そんな米八では、2020年にFJD農機自動操舵システム「AT1」を2台導入。その後、 AT2 MAX FJD自動操舵および R3Dレ動ベラーシス「AL02 」も合わせて導入し、自動操舵を水稲・大豆・麦・直播・圃場均平といった幅広い作業で活用している。 加藤さんに、自動操舵の活用と今後の展望について伺った。
大豆の中耕培土で「株間が揃う」ことの意味
自動操舵を導入して、まず大きなメリットを感じたのは大豆だという。
「一番メリットが出たのはダイズですね。うちは培土するんですけど、株の間隔が一定であると、中耕培土作業がすごくラクになるんです。 培土用のトラクターにも自動操舵を付ければもっとラクになるんだろうけど、付けなくても、播種の段階できっちり揃っていれば作業性はだいぶ違います
播種の段階で条と株間が揃っているからこそ、その後の中耕・培土の負担が軽くなり、作物へのダメージも少なくできる。 こうした「後工程への波及効果」は、大豆だけでなく、小麦や水稲の管理にも共通するポイントだ。
「播種で自動操舵が使えないなら、播種はしない」
播種作業そのものに対する自動操舵の貢献度も大きい。
「播種については、自動操舵が使えないと播種作業はしない、というレベルですね。 自動操舵を付けてから、トラクターの播種作業に使うマーカーは取っちゃいました」
トラクターにAT1を導入してからは、まっすぐ走ることと重なり幅のコントロールを自動操舵に任せることで、オペレータは後ろの作業機と作業精度の確認に集中できるようになった。
スマート農業実証で「時間より、疲労感がぜんぜん違う」と実感
米八は、農林水産省の「スマート農業実証プロジェクト」において、自動操舵による作業時間・効率の変化を検証した経験も持つ。
「自動操舵で、どのくらい削減できるかを実証したことがあるんです。耕うんや代かきでの重なりがきっちりしているので、ムダのない作業ができる。」
何%か時間も削減できているんですけど、一番は疲労感がぜんっぜん違いますね。他のトラクターに乗りたくないです
「自動操舵が当たり前になっちゃうから、他のトラクターに乗ると条が曲がっちゃう(笑)」
実証当時は、FJDではなくトプコンの自動操舵システムを使っており、価格は1台あたり300万円ほどだったという。 その経験があるからこそ、「100万円を切る価格帯」で導入できるFJD自動操舵システムのコストメリットも、より強く感じている。
ベテランも若手も、6名全員で使いこなす
米八の現場は、ベテラン2名・中堅2名・若手2名の6名体制。 FJDの自動操舵は、世代を問わず全員が使っている。
「自動操舵は、トラクターでする作業では、ぜんぶで使っていますよ。使わないときはほとんどないかな」
FJDの「日本語UIで、圃場登録も日本語で完結する」点は、ベテラン層も含めた現場全体での活用を後押ししているという。
「トプコンはモニターが英語なんですよ。入力もローマ字。FJDは日本語なんで、圃場登録も日本語でできるのが大きいですね」
一方で、「高低差が見やすい」など、トプコンならではの良さも感じており、それぞれの特長を活かしながら運用している。

AL02で圃場の高低差を可視化
AT2 MAXは「バックモニター」としても活躍
圃場の均平作業では、3Dレベラーシステム「AL02」が活躍している。
「使ってて、いいことばっかりです。今秋に購入して、使えるだけ使いました。 マップで高低差が可視化できて、モニターに保存できるのがいいですね」 「圃場の外周を回って、圃場のなかをグルグル回るだけで簡単にデータが取れる。保存できるし、いつでも呼び出せるし、やっぱり便利ですね」

基準点の高さを後から調整できる点も、従来のレーザーレベラーにない利点だという。
「データを取っておけるのもいいですよね。レベラーの上げ下げはもちろん、最初の基準点の調整も簡単です。 たとえば変な基準点をとっちゃうと、マップの色がおかしくなっちゃうんですけど、基準点の高さを後から調整できるのがすごくラクですね。レーザーだと、大きく調整する場合は改めて基準点をとらなきゃいけない。そこはすごく良かったです」
さらに、AT2 MAXは少しユニークな使い方もされている。
「ちょっと面白い使いかたをしていて、AT2 MAXをバックモニター代わりにしているんです。 レベラー作業って、後ろを向いて土を運んでいる量を見ていないと、持ちすぎて取られちゃうことがあるんで。後ろ向いているのって、結構疲れるんですよ。 そこで、自動操舵中はMAXをバックモニターにして使っています。首が結構疲れるんですよね。後ろ向くのが好きな人ならいいかもですけど(笑)」
自動操舵とカメラモニターを組み合わせることで、作業姿勢の負担軽減にもつなげている。
乾田直播・畑地水稲・有機の可能性
「なんの作業でも、感覚を揃えてくれる」のが自動操舵 加藤さんの経営では、水稲約8haで乾田直播を行っているほか、畑地水稲(陸稲栽培・完全に水を入れない水稲栽培)にも取り組んでいる。
「もしかしたら、節水栽培(節水型乾田直播)で、カルチを使えば有機でいけるんじゃないかなと思っていて。初期除草で。ハイクリに付けて進めば、可能性はあるんじゃないかと感じています」
大豆・小麦・水稲の乾田直播に加え、畑地水稲や有機の可能性を見据えたカルチ除草など、「水をどこまで減らしつつ、雑草と付き合うか」という試行錯誤のなかでも、自動操舵は軸になっている。
「疲労軽減が一番なのと、なんの播種作業でも“感覚が一緒”じゃないですか。その後の作業で、何をするにもラク。 収穫作業をするのもラクになってくるんですよね。防除も収穫も、同じラインを走れるんですよ」
播種から除草、防除、収穫まで、同じラインを何度もトレースできることが、自動操舵の大きな価値だと加藤さんは話す。

アグリノートを軸にしたICTの中で
「自動操舵は、現場の負担を一気に下げてくれる存在」 米八では、アグリノートを中心に、ICTコンバイン・ドローン・水田センサー・衛星画像などのデータを一元管理し、「見える化」と「振り返り」を重ねながら経営と栽培をアップデートしている。 そのなかで自動操舵は、データそのものを生み出す基盤であると同時に、「現場に立つ人の負担を一気に下げてくれる」存在でもある。
「スマート農業の機械って、どうしても通常より高くなりがちで、価格の面での課題もまだあるんですけど、自動操舵はその中でも、一番“毎日効いてくる”技術だと思っています」
耕うん・代かき・畦塗り・播種・乾田直播・中耕培土・除草・圃場均平――。 トラクターで行うほとんどすべての作業に自動操舵を組み込みながら、米八はこれからも「おいしく、楽しく、そして効率よく」農業を続けていく。

まとめ
米八様の事例は、自動操舵システムが現代のICT農業における中核技術として定着しつつあることを示しています。 FJD自動操舵システムおよびAL02を複数の作業工程に導入することで、播種・耕起・防除・均平作業まで一貫した作業フローを構築。さらに、農業経営支援システム「アグリノート」と連携することで、圃場での作業と営農管理データをシームレスにつなぎ、作業品質の均一化と経営効率の向上を実現しています。
また、を軸とした作業の標準化が進むことで、生産性の向上だけでなく、作業負担の軽減やオペレーターごとの作業品質のばらつき抑制にもつながっています。コメハチは、精密農業技術が実際の営農現場においてどのような価値を生み出すのかを示す好例と言えるでしょう。ICTを活用したスマート農業への取り組みを検討している農業経営体にとって、FJD自動操舵および AL02 より接続され効率的な圃場作業への実用的な道筋を提供します。