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65haを3人で耕す:日本の持続可能な稲作を支えるFJDテクノロジー革命

農業は、若い世代にとって必ずしも最初のキャリア選択肢ではありません。日本のエヌエスファームを経営する助川さんも、その一人です。もともとはバスプロとして活躍していた助川さんですが、家業を継ぐ責任を感じ、農業の道へ進むことを決意しました。 最初は兼業として5haからスタートし、父の体調不良をきっかけに本業へ転換。わずか1年で10haまで規模を拡大しました。現在では、65ha・100枚の圃場を3名の従業員とともに管理し、安定した経営を実現しています。


経営規模が拡大し、成功を重ねる中で、助川さんは46歳となり農業歴は20年以上。しかし、そのスタートは農業ではなく「釣り」でした。バスプロとして活動していた助川さんが、どのようにして65haの大規模稲作経営者となったのか。そして、どのように新しい技術を活用して農作業を効率化してきたのか。今回は助川さんのストーリーに迫ります。 


規模拡大とともに高まる「省力化」の重要性

助川さんの圃場では、以前は飼料米の栽培が中心でしたが、昨年からは「にじのきらめき」を主力品種として採用し、主食用および輸出向けの米作りにシフトしました。これは、より収益性が高く市場ニーズに沿った経営への転換でもあります。

 

そのほかにも、コシヒカリ(12ha)やあきたこまちなど複数品種を栽培しながら、作業の省力化にも積極的に取り組んでいます。例えば、蜜苗(10枚/10a)を活用し、田植え工程の効率化を図っています。


しかし、規模拡大には大きな課題もありました。100枚もの圃場が点在し、作業量が増える中で、人手不足は深刻化。これまで通りのやり方では限界があると感じた助川さんは、従来型の農業スタイルから、スマート技術を活用する方向へと舵を切りました。


FJDの自動操舵システムが農作業を大きく変えた

 助川さんが本格的に省力化技術の導入を考え始めたのは、経営面積が10haを超えた頃でした。広い面積を一人で管理するのは現実的に難しくなってきたのです。 「10haくらいが1人で作業する限界の面積だと感じました。当時は刈払い機で草刈りをしていて、作業が終わるころには、最初に刈った草が伸びているんですよ」 終わりの見えない草刈り作業は、時間と体力を大きく消耗させていました。


そんな中、助川さんは担当エリアの販売代理店ジャパンアグリサービスの紹介を受け、2021年に FJD農機自動操舵システムAT1 を導入します。これが、エヌエスファームにとって大きな転機となりました。 「びっくりするくらい作業が変わりました」 助川さんはそう語ります。


例えば、2.4m幅のロータリーによる耕うん作業では、手動運転だとどうしても重ね幅が大きくなり、無駄が発生していました。しかしFJDの自動操舵システムを導入したことで、被せ幅を細かく調整できるようになり、無駄の削減と作業効率の向上を実現。さらに、手放しでも高精度な作業が可能になりました。


また、代かき作業では5m幅のウィングハローを使用していますが、水を張った圃場では作業幅が目視しにくく、調整が難しい作業の一つでした。 「代かき作業では5m幅のウィングハローを使用しいるんですが、目視で被せ幅を調節するのは絶対に無理です。ただでさえ水を張っているので確認しづらいし……。自動操舵を使うと、意識しなくて済むので本当にラクですね」


「一番きつい作業」が「一番ラクな作業」に

助川さんと従業員にとって、自動操舵システムの導入は肉体的負担を大きく軽減するものでした。 「自動操舵なら手放しで運転できるため、身体への負担が大きく軽減されました。これまで1番忙しかった春作業が、トラクターの中で休憩できるので、特にラクな作業になりましたね」


さらに、作業量そのものも増加しています。 「それに、自動操舵を導入する前と比べて、1日に作業できる面積も増えたと思います。今では、代かき作業で1日3ha、多いときで4haできています」


加えて、自動操舵システムの導入は、作業の標準化にもつながりました。新人スタッフに作業を任せる場合でも、プロ並みの精度で仕上げることができ、全体の生産性向上を実現。燃料節約や作業時間短縮といった経済的メリットも得られています。


農家の間で高まるレベラー需要

助川さんによると、稲敷市ではこの5年間で、圃場の均平化を目的としたレベラー利用が急速に増えているといいます。その背景には、担い手農家の経営面積拡大、そして区画整備による圃場の合筆が進んだことがあります。


助川さん自身も、スガノ社製の牽引式レベラーを導入し、圃場の整地作業を行っています。圃場内の高低差は水管理を難しくし、低い部分では苗が水没して生育不良となり、高い部分では田面が露出して雑草が発生しやすくなります。そのため、均平化作業は収量と品質を左右する重要な工程となります。

助川さんは以前、レーザーレベラーを使用していました。 「生育にムラがなくなり、収穫時の仕上がりが格段に向上します。体感だと、均平作業の有無で収量が1~2俵変わる気がします」

しかし、レーザー方式には課題もありました。発光器の設置に手間がかかることに加え、風が強い日には作業ができないこともありました。また、整地作業が集中する時期には地域の農家が一斉にレーザーを使用するため、錯光による干渉が発生し、作業に支障が出ることもありました。 この問題を回避するため、地域の農家はLINEグループを作り、レーザー使用状況を共有しながら調整するなどの対策を行っていましたが、根本的な解決には至りませんでした。


RTKレベラーシステムで「自分のペースで作業ができる」

2025年、助川さんは RTKレベラーシステムAL02  を導入しました。このシステムはレーザー発光器が不要であり、錯光の問題を根本から解消します。 「自分のペースで作業が進められるようになり、作業効率が大幅に向上しました」助川さんはAL02を高く評価しています。特に、ピーク時にレーザー機器が集中使用される問題が解消されたことは、大きなメリットとなりました。


また、レーザー方式からRTK方式へ切り替えたことで、作業計画の自由度も大幅に向上しました。以前は地域農家とレーザー利用時間を調整する必要がありましたが、RTKではその手間が不要になり、より柔軟に作業を進められるようになりました。 さらに、AL02では高低差マップをモニター上で確認できるため、視覚的に圃場状況を把握しながら作業できる点も助川さんにとって大きな魅力となっています。


これからの展望

自動操舵システムとRTKレベラーシステムAL02の導入により、エヌエスファームでは作業効率の向上、精度改善、省力化が大きく進みました。特に自動操舵システムは身体的負担を軽減し、繁忙期の作業ストレスを減らすだけでなく、新人スタッフでも高精度な作業を可能にし、経営の安定化にも貢献しています。 また、RTKレベラーシステムAL02の導入により、従来のレーザー発光器に伴う課題が解消され、圃場整地作業の自由度が向上しました。生育ムラの改善によって、収量と品質のさらなる向上も期待されています。


今後、助川さんはさらに高度な農業機械やスマート農業技術の導入を進め、持続可能な米作りを目指していく方針です。伝統とテクノロジーが共存し、地域を支え、家業を守り続ける――助川さんにとって、農業の未来は「技術を受け入れ続ける限り、明るい」と言えるでしょう。